大吟醸 :: 中島みゆき

by 中島みゆき 1996年作品
大吟醸  椎名林檎と比較してしまった中島みゆきを取り上げる。ちょっと反則技であるがベスト盤をレビューしたい。
 中島みゆきクラスのベテランになると、初期から現在に至るまで名曲が多いので一枚で多くの名曲を堪能できるのはどうしてもベスト盤になってしまう。
 プロジェクトX 挑戦者たち...の主題歌としておなじみの超ロングセラー 地上の星/ヘッドライト・テールライト以前の大ヒット曲を集めたベスト盤でありCD一枚に収める曲としては納得できるものである。
デビューからしばらくは「暗い唄」の代名詞のような存在であったが、こうして聴いてみると前向きな応援歌やメジャーキーでの楽曲も多い。彼女の声質や歌唱法が湿った感じであるので、カラッとした印象は少ないのであるが。 7曲目「誕生」は自分励まし的な中島みゆきの「根暗(死語)」ソングっぽく始まるが、いつの間にか愛する人への応援歌となって壮大なサビへとつながる必聴の名曲である。
 中島みゆきの楽曲には駄作はないと思っているので、新作 恋文 にも期待したい。

大吟醸

 楽曲紹介

  1. 空と君のあいだに

  2.  安達祐美の大ヒットドラマ「家なき子」の主題歌として、オリコン1位に輝いた曲。ドラマの主人公の親友である「リュウ」という犬の視点による歌詞らしい。完全にドラマの主題歌を受託生産したという形になるが、少しも中島みゆきブランドを崩さないところが凄い。シングル曲らしく現在まで続く壮大な中島みゆき節を堪能できる。
  3. 悪女

  4.  「暗い」というイメージを払拭したオリコン1位曲。 当時「ザ・ベストテン」という超人気番組があった。そこでは「レコード売り上げ」、「ラジオランキング」、「有線ランキング」、「ハガキリクエスト」の4要素からランキングが決定する。この曲は「ハガキリクエスト」以外の順位がすべて1位になった週が何度かあったが、番組の最高位は4位だったと記憶している。よほど「ハガキリクエスト」が少なかったのだろうか。「中島みゆきのオールナイトニッポン」ではなんとコメントしていたのだろう..
  5. あした

  6.  「愛」について切々と唄う切ない曲。「昭和枯れすすき」「Living on a prayer」のように愛以外は何もない絶望的な描写が悲しい。椎名林檎のような、男性として恐怖を感じるような愛ではなく、ただ悲しさが胸を締め付ける。
  7. 最後の女神

  8.  「一番最後に見た夢だけを人は覚えているのだろうか」。冒頭から心に突き刺さる歌詞は天才的な詩人のみがなせる業だろう。ニュース番組のテーマソングということで歌詞には苦労したそうだが、職人的な仕事に対しても芸術性と顧客満足度の両方を満たしてまとめてしまうのはさすがだ。「最後のロケットが君を残し地球を捨てても」という件は、手塚治虫の火の鳥を思い起こさせる。
  9. 浅い眠り

  10.  ミリオンセラーを記録した大ヒット曲。ポップな曲であるが、詞はやはり深いものがある。
  11. ルージュ

  12.  香港の女性歌手にもカバーされ、結構アジアでは有名な曲。ちなみに私の好きな周慧敏(ビビアン・チョウ)も中島みゆきをカバーしている。更に予断だが、周慧敏は吉田栄作とのデュエットで「今を抱きしめて」を日本語でカバーしている。
  13. 誕生

  14.  歌い出しは、詞もメロディも中島初期のフォークソングっぽい。十八番の失恋ソングかと思いきや、サビにきて壮大なラブソングとなる。全人類へ向けた愛を唄うような、本当に壮大で感動的な歌である。必聴。
  15. 時代

  16.  これも超有名な曲で、このアルバムに収録されているのは3度目のリメイク版。私はこのバージョンが一番好きである。
  17. わかれうた

  18.  中島みゆき初のオリコン1位曲。初期の彼女のイメージを決定付けた曲でもある。「道に倒れて誰かの名を呼び続けたことがありますか?」という、当時でも「そんなことある訳ねーよ」と突っ込みが聞こえてきそうな唄い出しで、女の情念を表現している。
  19. ひとり上手

  20.  「悪女」につながるポップさがあるが、内省的な詞がこのころの中島みゆきの特徴。
  21. 慟哭

  22.  工藤静香に提供した曲の自己カバー。やはりこういう歌は工藤よりも中島本人の方がハマる。
  23. 狼になりたい

  24.  おそらく中島みゆき自身はこのような体験はないと思う。研究と想像だけでここまでリアリティのある表現ができるのかと、心から関心する。パンクロック的な原体験に基づいた衝動による表現とは正反対ではあるが、パンク的な怒りも感じさせる非常に高度な表現方法である。
  25. 旅人のうた

  26.  「家なき子2」の主題歌で、これも大ヒットした。私的には「空と君のあいだに」よりもこちらの方が好きだ。「地上の星」を軍歌だと言った人がいるが、この曲は正に軍歌である。Aメロとそのアレンジはジャーマンメタルを彷彿とさせる、非常に力強いサウンドだ。MDで聴きながら歩くと、知らずのうちに速度が速くなっていることに気づく。
  27. ファイト!

  28.  中島みゆきの最高傑作と推す人も多い名曲。カバーされることが多いのも有名か。TV CMで初めて聴いたときは単なる人生応援歌にしか思えなかったのだが、それでもとてつもなく衝撃的だった。改めて聴いてみてもその詞の妙技には感嘆する。
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