三国志 三の巻 玄戈の星

by 北方謙三 2001年作品
三国志 三の巻  冒頭、張衛編から話が始まるので一瞬おやっとするが、この巻のハイライトは呂布と曹操との戦である。裏切りの人生だった男が最後は裏切りに敗れる、というのがこれまでの呂布像であったが、北方三国志の呂布は裏切らない。
 呂布とその騎馬隊「黒きけもの」は崇高かつ最強であるものとして表現され、あの曹操ですら勝算を見出せない。北方三国志でも屈強の軍として書かれている劉備軍ですらそうである。
 曹操はその軍略として、寝返りや埋伏を必ず行う。呂布との戦いも例外ではないが、そんなことよりも、黒きけものをどう仕留めるかに全てを傾ける。
戦いの駆け引きより、漢(おとこ)の生き様を描ききった巻である。
 何度も同じことを書いているが、呂布と赤兎馬は北斗の拳のラオウと黒王号を連想させる。
 一途に、愚直に妻を愛し、馬を愛し、戦いに生きた男、呂布。この後の物語でも、度々伝説的な武将として登場する。このような作者の思い入れが、ケンシロウとの戦い後もラオウ伝説なるものまで登場する北斗の拳と似ている。
この三の巻では、いよいよ張衛の野望も動き出し、戦乱の三国時代正史の裏の物語が描かれる。張衛の物語は私の中では機動戦士ガンダム (ファーストガンダム)に対する機動戦士ガンダム 0080 ポケットの中の戦争という感覚であるが。


Posted by Rei Genma on October 18, 2003 | TrackBack
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