2004年3月 アーカイブ

by 本宮 ひろ志 1971年作品
男一匹ガキ大将  「巨人の星 」、「あしたのジョー 」と並んで70年代を代表する少年マンガである。当時はまだ新興のマイナー雑誌だった少年ジャンプを一躍メジャーに押し上げた、ジャンプの神様的な作品だ。
 現在まで続く、ヤンキー出世物マンガの元祖といえる作品だが、物語のスケールはこの作品の方がはるかに大きい。何しろ、主人公「戸川万吉」の夢はでっかい男になること。そのケンカの相手は、街の番長、日本の財閥との株勝負、アメリカの巨大資本、そして日本国家と物語が進むにつれてスケールが大きくなる。ライバルのインフレーションというジャンプの基本方針を最初に確立した作品でもある。
 作者の本宮 ひろ志もここまでの物語になるとは夢にも思っていなかっただろう。作者の思いつきというか、その時の興味を作品の題材として取り込んでいくというやり方は時として物語の破綻を呼ぶが、そのぎりぎりのラインでうまく纏め上げながら物語を進めていった結果が「おもしろい」作品になったのだと思う。
 私はリアルタイムでこの作品を読んだ訳ではなく、ジャンプでの最終回から10年以上たってから単行本でまとめて読んだ。すでに時代にそぐわない場面設定ではあったのだが、全20巻を一気に読ませた、いや読むのをやめる事をさせなかった物語のパワーはさすがにジャンプを代表する人気作品だと感心したものだ。
 作者が何を描いたか覚えていないという、「富士の裾野決戦」以降も充分に面白く、現在発行されている復刻版ではカットされているのが残念だ。(作者の意向により現在入手できる単行本では「富士の裾野決戦」で最終回になっている)
 この作品の成功により、本宮 ひろ志 氏はジャンプの功労者としてその地位を不動のものとし、数々のヒット作品を送り出す。現在も「サラリーマン金太郎」等メジャーの第一線で活躍し続けている。世間的にはもっと評価されていい作家だと思う。

| コメント(0)| トラックバック(0)

最新トラックバック