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三国志 一の巻 天狼の星

by 北方謙三 2001年作品
三国志 一の巻  三国志をテーマにした作品は、小説、映画、TV(中国)、人形劇、ゲーム...と枚挙に暇がない。
 その中でも北方謙三氏による、この小説はこれまでの三国志物語とは異なる斬新な視点で書かれている。
 呂布、張飛の描かれ方が特徴的であり、また五斗米道の張衛を裏主人公的に扱っているところが新鮮である。
 また、北方氏一流の短い文体が小気味よく、漢(おとこ)達の物語をテンポ良く進めていき非常に読みやすい。特に「北斗の拳」等の劇画好きにはピタリとはまるのではないだろうか。
 「一の巻 天狼の星」では、劉備、関羽、張飛の出会い、黄巾の乱から董卓の台頭、孫堅の死までが書かれている。
 北方三国志には有名な「桃園の儀」が無い。盗賊から馬を取り返すという仕事で、劉備、関羽、張飛は知り合い、その仕事を通じて劉備という人間の「志」で結びつく。
 劉備の武器はこの「志」で、全編これが彼のすべての行動原理として働いてゆく。 ところで、私は曹操が好きである。北方氏の曹操ひいきであるそうなので、北方三国志でもカッコ良く書かれている。一の巻でも洛陽を焼く董卓軍と決死の戦いを行い、死の寸前で生きながらえ「私は闘って負けた。闘わずして負けた諸君とは訣別する。」という名台詞を残す。
 曹操は強い意志と行動力を武器に、不可能を可能にしていく。 孫堅は海賊仕込みの曹操にも似た意志と行動力、自身の武力に加えて、有能な息子を武器にしてのし上って行く。 一の巻の宿命か、主だった登場人物紹介を物語に組み込みながら読者を掴まえるというウルトラCを見事にやってのけ、ここから始まる北方三国志の世界にドップリはまってゆく。
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