2004年4月 アーカイブ
「ジャーマン・メタル」という音楽ジャンルのオリジネイターであり、メンバー交代を重ねながら今でも現役のバンドである。が、"Helloween"というとこのアルバムが頂点だったというファンの声は根強い。
全楽曲のクオリティの高さもさることながら、サウンド、演奏力まで加味すれば確かにこのアルバムが頂点かも知れない。特にカイ・ハンセン
とマイケル・ヴァイカートのギターサウンドは、今のHelloweenのギターサウンドと比べると雲泥の差があるくらい良いものである。
また、若干18歳でバンドに加入したマイケル・キスク の超絶ハイトーンヴォーカルは全てのヘヴィメタルアルバムの中でも屈指の迫力だ。正に天才シンガーと呼んで差し支えない。
くしくもpart I がカイ・ハンセン中心の楽曲、Part II がヴァイキー中心の楽曲と別れてしまったが、元々は2枚組みでのリリースを考えていたというからやはり2枚まとめて評価するのが妥当だろう。
だが、あえて言うならばヴァイキー中心でありながらもカイ・ハンセンも[March of Time], [I Want Out]という名曲で貢献していることから、"Keeper of the Seven Keys Part II"の方がアルバムの出来は上だと思う。
冒頭から名曲"Eagle Fly Free"で飛ばし、これも超名曲のタイトル曲"Keeper of the Seven Keys"で終わるという隙のない展開。そして全曲に見られる強いメロディへのこだわりが「ジャーマン・メタル」というジャンルのお手本アルバムとなり、多くのフォロワーを生んだ。
特にマイケル・ヴァイカートの書くメロディは、「ベートーベン」や「バッハ」の影響が見られる。恐らく本人は意識していないだろうが、日本人の書くメロディが演歌臭いというか独特の「日本人節」になってしまうように、彼らの書くメロディは「ベートーベン」、「バッハ」といったドイツのクラシックメロディがDNAに組み込まれているのだろう。もちろん、カイ・ハンセンのメロディにもその影響が見られる。というか、カイの場合にはヴァイキーの影響がもろに出ている気もするが(決して彼を批判している訳ではない。彼の曲は大好きだし現在のGanma Rayも大好きだ)。
Judy & Maryを初めて見たのはフジテレビの深夜番組だった。いきなりロリロリの格好をしたボーカリストが非常に個性的な、そのときは不快に感じた声でポップなパンクロックナンバー[Blue Tears]をシャウトしていた。
そのメロディは切なく胸に響き、その演奏はパンクロックらしからぬタイトさで迫ってきた。が、フロントに立つ女性ボーカリストはそのいでたちと声がどうにもバンドに合っていないように感じ、非常に勿体ないバンドだなぁと思った。
しかしながら、なぜだか理由は全く思い出せないが私は彼らのデビューアルバム[J・A・M]を購入し、かなりのヘヴィローテーションで聞きまくっていた。多分[Blue Tears]の魅力にはまったせいだろう。
そしてこの2nd「オレンジ・サンシャイン」はけっこうな期待値を持って購入したアルバムだ。POPでPUNKで切ないメロディ、と1stの延長線上にあるのだが、グレードが格段に上がっている。
YUKI の歌が説得力を増したこともあるが、リーダーである恩田快人の楽曲が非常に洗練されたことが最大の要因だろう。(ちなみにかれはジャパメタバンド"Precious"出身) また、ギタリストTAKUYAの曲もバランスよく配置され、絶妙のアルバムバランスを醸し出している。
先述の「Overdrive」はギタリストTAKUYAの曲で、この曲の商業的成功からこのバンドのメインライターはTAKUYAへと移っていき、このアルバムで見せたバランスが崩れていったのは残念だ。 全楽曲が名曲なのであるが、特に#5「小さな頃から」は感涙の名作だ。