Keeper of the Seven Keys :: Helloween
「ジャーマン・メタル」という音楽ジャンルのオリジネイターであり、メンバー交代を重ねながら今でも現役のバンドである。が、"Helloween"というとこのアルバムが頂点だったというファンの声は根強い。
全楽曲のクオリティの高さもさることながら、サウンド、演奏力まで加味すれば確かにこのアルバムが頂点かも知れない。特にカイ・ハンセン
とマイケル・ヴァイカートのギターサウンドは、今のHelloweenのギターサウンドと比べると雲泥の差があるくらい良いものである。
また、若干18歳でバンドに加入したマイケル・キスク の超絶ハイトーンヴォーカルは全てのヘヴィメタルアルバムの中でも屈指の迫力だ。正に天才シンガーと呼んで差し支えない。
くしくもpart I がカイ・ハンセン中心の楽曲、Part II がヴァイキー中心の楽曲と別れてしまったが、元々は2枚組みでのリリースを考えていたというからやはり2枚まとめて評価するのが妥当だろう。
だが、あえて言うならばヴァイキー中心でありながらもカイ・ハンセンも[March of Time], [I Want Out]という名曲で貢献していることから、"Keeper of the Seven Keys Part II"の方がアルバムの出来は上だと思う。
冒頭から名曲"Eagle Fly Free"で飛ばし、これも超名曲のタイトル曲"Keeper of the Seven Keys"で終わるという隙のない展開。そして全曲に見られる強いメロディへのこだわりが「ジャーマン・メタル」というジャンルのお手本アルバムとなり、多くのフォロワーを生んだ。
特にマイケル・ヴァイカートの書くメロディは、「ベートーベン」や「バッハ」の影響が見られる。恐らく本人は意識していないだろうが、日本人の書くメロディが演歌臭いというか独特の「日本人節」になってしまうように、彼らの書くメロディは「ベートーベン」、「バッハ」といったドイツのクラシックメロディがDNAに組み込まれているのだろう。もちろん、カイ・ハンセンのメロディにもその影響が見られる。というか、カイの場合にはヴァイキーの影響がもろに出ている気もするが(決して彼を批判している訳ではない。彼の曲は大好きだし現在のGanma Rayも大好きだ)。
Initiation
ハロウィンの一曲目といえばこれ!という定番のインスト小曲である。この後のアルバムでも同じ事を繰り返すが、このころはこういった小曲にもかなりこだわりがあったと思う。
I'm Alive
I am Alive〜 というサビのメロディがハロウィンというバンドの印象(アニメソング的)を確立したのでは。カイ・ハンセン入魂の一曲。
Little Time
ジューダス・プリースト風のメタル・ナンバー。メロディはハロウィン節という感じではないが、ギターリフがカイ・ハンセンしている。Judusからの影響も含めて。
Twilight of the Gods
メジャーコードで覚えやすいイントロのメロディと、歌導入部分がHelloweenです。転調やサビのメロディはまだ進化途上という感じのカイ・ハンセン節。これは後のGanma Rayで成就するのだが。
Tale That Wasn't Right
Future World
今でもGanma Rayのライブで演奏されるほどのヒット曲。特にカイ・ハンセン本人の思い入れが強いのだろうか。ブリッジのメロディがらしい。しかし、この曲の肝は"マイケル・キスク"の歌唱にある。このレンジの広さは何だ?人間か?というくらい素晴らしい。
Halloween
実はヴァイキーの大作"Keeper of the Seven Keys"にインスパイアされて自分も大作を作ろうと、カイ・ハンセンが頑張った入魂の一曲。Ganma Rayにも通じるメロディアスな名曲。
Invitation
カイのイントロはあくまでメタル的であったが、ヴァイキーのそれはクラシック風味。結構な力作。
Eagle Fly Free
イントロのリフ一発で好きになってしまった曲。イントロだけでなくAメロ、ブリッジ、サビと文句のつけようがない展開でまとまった構成美こそ、ジャーマンメタルの様式を確立したと思う。いつ聴いてもよい曲だ。
You Always Walk Alone
メロディとリフの絡み方がいかにもマイケル・ヴァイカート風。やっぱりカイ・ハンセンとは違った個性がある。でもメロディの出来はこちらに軍配が上がるか。
Rise and Fall
ふざけた曲なんだけど、実はかなり好き。マイケル・ヴァイカートの作曲能力と、彼個人のふざけた人柄がミックスされた曲。ハロウィンのアルバムには必ずこういった曲が必要で、そういう意味では非常にHelloweenらしい曲。
Dr. Stein
ドイツで初のシングルチャート入りを果たした曲。ライブでもよく演奏されるし、やはり地元では最も有名な曲らしい。サビがヴァイキーらしいですよ。
We Got the Right
March of Time
カイ・ハンセンのアレンジ能力が開花した曲。メロディも良いが、この曲が出来たからこそ学校で音楽の再勉強をしようという決断に結びついたのではないだろうか。それまでのHelloweenの曲とは明らかに違う出来栄えだ。
I Want Out
病気によりこのアルバム制作にあまり関われなかったカイ・ハンセン入魂の名曲。しかし曲の構成やリズムはGary Mooreの"Out in the Field"にそっくりなのがどうしても気になる。アメリカでもそこそこヒットしたので、世界的にはHelloweenの代表曲といえる。
Keeper of the Seven Keys
この曲に使われたメロディは、極端に言えば全て他の曲のサビとして使えただろう。それくらいの良質なメロディに溢れた非常に贅沢な曲。この曲が全てのHelloweenファンの幻想となって今尚生き続けているのではないだろうか。
Save Us
Don't Run For Cover
Livin' ain't no Crime
バンド内では批判的な声が多く、当初はアルバムに入らなかった。でもヴァイキーのこういうメロディセンスは個人的には大好きだ。非常にポップな曲。
Savage
マイケル・キスクがスラッシュメタルを意識して作った曲。本人は大嫌いで二度とこういった曲は作らないと公言しているが、カイ・ハンセンは絶賛している曲でもある。私は好きだが。
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マイケル・キスクは今どこに?
あのころ洋楽入門には最適でした
大好き!!