2004年6月 アーカイブ

by ガンズ アンド ローゼス 1987年作品
Appetite for Destruction  1980年代は世界中でヘビーメタルがメインストリームに躍り出た、メタル好きとしては黄金時代だった。所謂ヘアバンドからベテランの再生まで含めて有象無象のメタルバンドが各国のチャートを賑わした。
このムーブメントはその中心となった都市の名前からL.A.メタルと呼ばれていたが、そのL.A.(ロス・アンジェルス)からムーブメント末期に登場したのが、L.A.の退廃の匂いを漂わせたこのバンド、"ガンズ・アンド・ローゼス"だ。

 このデビュー作"Appetite for Destruction"については文句のつけようがない超傑作である。2枚組みではなく2枚のCDをI,IIとして同時リリースし、チャート1,2位を独占した、次作"Use Your Illusion"も傑作であったが、アルバムとしての完成度、シーンへ与えたインパクトを考えるとデビュー作こそが"ガンズ"最高傑作ということについてはあまり異論はないであろう。

 このアルバムはこのメンバーだったからこそこの音になったというべきだ。古くはレノン/マッカートニー、タイラー/ペリー等から氷室/布袋など(余談だが、最近日本のバンドでこういったケミストリーがあるものがないのは残念だ)のようにボーカリストとギタリストのケミストリーがこのアルバムでのアクセル・ローズとスラッシュの間には確かにあった。
実際の人間関係がどうあれ、バンドしてのケミストリーが奇跡的に働いてこのアルバムが産まれたのだと思う。

 現在はアクセル・ローズを除いて全てのメンバーが去り、"Chinese Democracy"というアルバムを10年近くもレコーディングし続けている。これをバンドと呼ぶべきかどうかはわからないが、幼い時からの友人で心の支えだった"イジー・ストラドリン"が去り、音楽的なカウンターパートナーであるスラッシュをとも訣別してからのアクセルは精神分裂としか表現できないような言動を繰り返している。
 精神が非常に繊細な優れたアーティストは数多い。カリスマかつ王様的な言動が目立つ"リッチー・ブラックモア"や"イングヴェイ・マルムスティーン"も常人の感覚からすれば精神的におかしなところがあるように思えるし、日本ではアルバムタイトルに""とまで命名された"マイケル・シェンカー"は、アクセル・ローズに近い精神構造を持っているようだ。Violet UKのレコーディングを何年も続けている元X Japanの"YOSHIKI"もガラスのような精神を持っている。
 ボーカル:アクセル・ローズ、ギタリスト:マイケル・シェンカー、ドラム:YOSHIKIという面子でバンドが組めたら一発だけでも非常に優れた作品が残せそうだ。

  Contraband : Velvet Revolver CCCDとしては米国初のチャート一位になったらしい。ガンズの名前はまだまだ死なず、といったところか。

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by サンボマスター 2003年作品
新しき日本語ロックの道と光   いやー驚いた。現在の日本ロックシーンでこのルックスでメジャーシーンでやっていけてるということがだ。しかもかなりの人気らしい。この事実には驚愕すると共に非常に嬉しく思う。
 偶然に深夜の音楽番組でこの"サンボマスター"なるバンドのライブ映像を見た。見た目のインパクトとは裏腹に、結構というかかなり真面目でかっこいいメロコアをやっているという印象だった。

 90年代中盤以降のロックシーンではビジュアル系もしくはヒップホップ系のルックスでないバンドはメジャーシーンに出て来れなかった。もっともルックスを凌駕するだけの音楽性をもったバンドが出てこなかったというのも事実であるとは思うが。
 そんなシーンの中で、このルックスでパンクをやって人気を博するというのは脅威だと思う。

 そんな彼等のライブ映像に衝撃を受け、早速(少々流行からは遅れてはいるが)彼等のデビューアルバム"新しき日本語ロックの道と光"を購入して聞いてみた。かなり気に入ったのでここでレビューしてみる。

 バンドのルックスとメロコア、パンクに留まらない音楽性から"Smash Mouth(スマッシュ マウス)というバンド(Why Can't We Be Friendsは超名曲)との同じ匂いを真っ先に嗅ぎ付けた。
 また、サウンド的には"Super Deluxe"にも近いものを感じた。

 サンボマスターの最大の魅力はやはりボーカルにあると思う。久々に、本当に久々にボーカルスタイルというか歌いまわしに共感できる日本人男性ボーカリストに出会った気がする。個人的にはブルーハーツ(現ハイロウズ)の"甲本ヒロト"以来だろう。メタル界で絶賛された下山 武徳も個人的には響かなかったので。
 結構なハイトーンでのシャウトもかっこよいのだが、レガートやスタッカートのつけかたが、ギターソロ的なところが好きだ。こう書いてしまうとよくわからないが、ギタリスト兼ということもあるのか、歌いまわしがギターソロ的なところがありそれもまた魂の叫びのように聞こえて心に迫る。

 でも、じつは歌の途中のセリフというか絶叫っぷりが"たま"にも似ているような。ボーカルの山口 隆 (やまぐち たかし)氏は"石川浩司"(たま。現在は元がつくが)にも似ているようにも思えるが。

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by BUCK-TICK 1991年作品
狂った太陽  バンドのパブリックイメージを決定づける、つまり熱心なファン以外の大衆が「"BUCK-TICK"といえばああいうかんじね。」というサウンドの基盤を確立した記念碑的作品。

 多くのバンドに影響を与えることになり、未だにカラオケでは筆者の定番ソングとなっている"スピード"、疾走感あふれる"Machine"、星野英彦 入魂の美しすぎるバラード"Jupiter"、そしてラストのゴシックナンバー"太陽ニ殺サレタ"まで隙のない完璧な流れで珠玉の楽曲がならぶ。

初シングル"Just One More Kiss"のヒットでブレイクし、バンドが上り調子の時にリーダーの"今井 寿"が LSD 服用の罪で逮捕、バンドの活動停止というショッキングな出来事があった。
その禊の意味も持った、復活アルバムが"悪の華"、続くアルバムの一曲目が"スピード"(当時話題になっていたドラッグのスラング名)と、挑発的かつ刺激的なタイトルをつけるセンスには脱帽する。
ボーカルの櫻井敦司は活動停止中に随分と本を読みまくったらしく、そのときハマッたボードレール等からの引用がたまたまこのような結果になったというのが実際のところらしいが。

 そんな櫻井敦司がついにソロ活動を始めた。自分で作曲をしない人なので、誰が曲を書くのかがとても気になっていたが、非常にバラエティに富んだ作家が参加しているようだ。"愛の惑星"。凄いタイトルだ。
デビュー以来メンバーチェンジなしで活動してきたバンドなので解散の前触れということは決して無いはず。ソロも成功して欲しいね。

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by MxPx 1996年作品
Corridors of Power  最近NISSAN(日産)のX-TRAIL(エクストレイル)という車のCMで久々にMxPxの音を耳にした。  "Magnified Plaid"を略して "MxPx"となり、98年にメジャーデビューを飾るのだが、このアルバムはインディーズでの最後の作品である。
 インディーズらしいといえばらしい、荒削りさとチープさが漂ってはいるがメジャー前のハチャメチャさとインディーズ3rdアルバムということもありバンドとしてのまとまりが絶妙なバランスを築いている。
 このバンドはカテゴリとしては完全にメロコアに属するのだが、サウンド的にはハードロック寄りというか"ハードロックも好きだぜっ"という臭いもする。サウンド的な特徴としては、オーバードライブがかかったギターと、野太いベース、とにかく速くたたきまくることに全てをかけたドラム、と"骨太"と表現して良いかと思う。
 テクニックをとやかくいう音楽ではないが、ギターについては"実はかなりのテクニシャン"ではなかろうか。
 ポスト"Green Day "等とも言われるが、徹頭徹尾メロコアという勢いはスケートボーダー音楽としては言うことがない。

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