マタンゴ

by 円谷 英二 1963年作品
スリーピー・ホロウ  小学生くらいの時に、友人の持っていた「恐怖映画なんとか」という本で紹介文を読んだのが最初の接触だった。その紹介文は非常に短いもので、映画のあらすじをイメージできるものではなかったが、そこに載っていた「マタンゴ怪人」の写真がとても怖かった。
 そのビジュアルショックと「マタンゴ」というネーミングがある種のトラウマとなって、ずっと私の頭に残っている。実際にこの映画を見る機会を得たのは、最初の接触から数年後であり、その時私は大学生になっていた。
 大人(?)になってから見たこの映画は、ビジュアルよりもそのストーリーの方が何倍も怖いものだった。
 ヨットで旅に出た若者が無人島に漂着する。そこで繰り広げられるドロドロした人間関係描写は、とてもお子様向けのものではない。極限状態に追い込まれた人間は、人としての尊厳を取るか、化け物と化しても生き続けるかという究極の選択を迫られる。最後まで人であることを選び、ついに助かった主人公の末路も含めて救いの無い人間の醜さを強烈に描いている。
 人として滅びるか、環境に合わせて別の生き物として生きるか、というのは手塚治虫もよく取り上げるテーマであるし、古今東西永遠のテーマであるとも言える。
 怖い作品だ。
 頭がでかい(アフロヘア)人のことをマタンゴと呼んだらしい。
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