COSMOS :: バクチク

by BUCK-TICK 1996年作品
COSMOS  バクチクはデビュー以来聴き続けてきたバンドであるので、思い入れが強い。基本的にハズれアルバムはなく、一枚だけ選ぶということが非常に難しい。
悩んだ末「狂った太陽」かこの「コスモス」の2枚に絞込み、さらに悩み抜いてこのアルバムをレビューすることにした。「狂った太陽」も捨てがたいのでまたの機会に取り上げてみたいと思う。
 「悪の華」、「狂った太陽」が人気、売り上げ的にバンド史上の頂点であった。それ以降一時は時代の最先端を行く音楽性(テクノロジー、ミクスチャー的サウンド)を追求し、ポピュラリティを捨てたかのような方向性であったが、この「コスモス」ではポップなバクチクへ戻った。とは言え、単に売れ線を狙ってポップ化したのではなく、それまでの先端サウンドはそのままでポップなメロディと融合させるというウルトラCの離れ業をやってのけている。
 特にシングル曲「キャンディ」は、数多いBUCK-TICK の曲の中でも1,2を争うポップかつ元気な名曲だ。この曲がなければこれほどの名盤には成り得なかっただろう。また、初期BUCK-TICKの色香が漂う「Ash-ra」、アルバムの締めくくりはやっぱこれでしょうという王道の「COSMOS」と名曲目白押しかつ隙がないアルバムに仕上がっている。
 更なる進化を見せながら、一聴すればBUCK-TICKと判る新作「幻想の花」は名曲だ。次回のアルバムも楽しみである。

COSMOS

 楽曲紹介
  1. Maria

  2.  最先端サウンド(当時)のエッセンスをふんだんに取り入れている。テクノというよりはグランジにも通じるへビィなサウンドと、桜井らしい退廃的かつ衝撃的な歌詞も耳につく。
  3. キャンディ

  4.  楽曲そのものは初期バクチクに近いが、アレンジ力が格段に成長しているため耳に入ってくる印象が全く異なる。ノイズ系オルタナへの傾倒も伺えるが、7年たった今でも古臭い感じがしないのは流石。
  5. チョコレート

  6.  これもグランジ的なへビィサウンド。あらためて聴くと、当時はテクノというよりインダストリアル的なアプローチが多かったのに気がつく。
  7. SANE

  8.  ループ系のリズムにつぶやきボーカルと、突き抜けるようなメロディのサビを載せ、聴くものを飽きさせない見事な曲。アルバム全体の流れも、ダレそうな所をうまく締めており、一気に聴かせる仕上がりになっているのは、こういった曲が中間にあるからだろう。
  9. Tight Rope

  10.  幻想的なメロディとサウンドの中で「今夜僕は精神異常」という歌詞が飛び出してきたりして、退廃的な色を出している。サビも覚えやすいのでカラオケで唄いたくなる曲だが、盛り上がることは間違ってもないと思うので要注意。
  11. idol

  12.  耽美ロックはやはり、バクチクの専売特許だと思う。フォロワー達はまだこの域まで達していない、というよりバクチクが唯一無二の存在なのだと思う。楽曲、アレンジとも前衛的なことをやっているのだが、一般の人にも聴きやすいエッセンスを必ず忘れないところが超一流の証なのだろう。今井寿というアーティスト独特のバランス感覚を真似できるフォロワーは存在しない。
  13. Living on the Net

  14.  個人的には今井寿の歌詞も大好きだ。他人には真似できないのは、サウンドだけでなく言語感覚もそうなのだろう。アバンギャルドという一言では片付けられない世界がここにはある。
  15. Foolish

  16.  こういうポピュラリティのあるメロディを、変な色気を出さずに仕上げれば聴き易い先端サウンドを造ることができるという良い見本。覚えやすいが凡庸ではないメロディと、ダークなサウンドをうまく構成している。
  17. IN

  18.  人を喰ったようなメロディと歌詞がBuck-Tickの持ち味の一つでもある。久々にこの持ち味を前面に出した曲。
  19. Ash-ra

  20.  「どうぞ踊りましょう熱いダンスを 全て呪うような〜」という「悪の華」以降の桜井節全開の歌詞を、これもバクチクお得意の歌謡曲的なメロディに載せるという、まさにBuck-Tick独自の世界を満喫できる一曲。
  21. COSMOS

  22.  「悪の華」以降、アルバムのラストはスローなバラード系の曲で締めくくっている。その流れでいけば、バクチク王道の曲。珍しく(?)前向きで救いがある歌詞とサビのメロディが印象的。良い曲だと思う。
 アルバムを通して似たような曲が一つもないことが、最大の特徴かも知れない。似たような曲がないのに、全てBuck-Tickらしい音に聴こえるということが、このアルバムへの評価の全てと言ってもよい。発表から7年も経っているが、少しも古く聴こえないし何度聴いても飽きが来ないすばらしい名盤だ。
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コメント(3)
Johnny :2004年3月 8日 17:59

櫻井敦司はなんとなくジョニー・ディップに似ていないか?

hina :2004年5月30日 22:05

わたしは「狂った太陽」が好きです。
またレビュー書かれるとのこと楽しみにしてます。
「幻想の花」名曲ですよ。

:2004年6月21日 17:25

初めましてこんにちわ。WindingRoad〜紆余曲折と云うブログをやっている麻と申します。折角トラバしてもらったのに、お返事がだいぶ遅くなってすいませんでした。私もBUCK-TICKがもう好きで好きで、ほとんどのCDを持っています。この記事でCOSMOSの事が書いてあったのを見て久しぶりに今COSMOS漬けになっています。このアルバム、いいですよね、やっぱり。本当に遅くなりましたが、トラバ、ありがとうございました。

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