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ステレオ太陽族 :: サザンオールスターズ

by Southern All Stars 1981年作品
ステレオ太陽族  私がサザンに一番熱を上げていたのは中学生の時だった。中学生という、人生において一番記憶力が良い時期を、サザンの歌詞やメロディやギターコードを覚えることに費やしていた。
 サザンオールスターズは1979年に「いとしのエリー」を大ヒットさせそれまでのコミックバンド的なイメージから本格派アーティストへの地位を築いた。その後1980年に入ると、「テレビ出演お休み」期間を設け、レコーディングに集中する。「涙のアベニュー」から「わすれじのレイド・バック」まで毎月シングルを発表する等、音楽製作には精力的に動いた。しかしながら、チャートでは「いとしのエリー」前後の勢いがなかったのも事実で、世間的な印象としてはサザンの歴史上「プチ停滞期」に当たる。
 「チャコの海岸物語」で再びチャートに返り咲く直前のアルバムがこの「ステレオ太陽族」であり、「プチ停滞期」=「レコーディング集中期」の音楽的集大成となった作品と言える。
 このステレオ太陽族は映画「モーニングムーンは粗雑に」のサウンドトラックでもある。「Big Star Blues」はその主題歌だ。シングルカットされた「栞のテーマ」はこの映画の主人公「栞」の歌なのであるが、私の中ではサザン最高の名曲で、個人的「棺おけに持って行きたい曲リスト」にもリストしている。にも関わらず、売上げ的には次のシングル「チャコの海岸物語」の足元にも及ばないのがどうにも納得できないが。
 実は私もこの映画を未だ見た事がないが、このアルバムにはそんな肩書きは必要なく、ただ桑田佳祐がアルバム製作にちょっとインスパイアされたと思えば良い。(桑田は音楽監督なのだが) 。
 2003年はデビュー25周年ということだが、衰えたり枯れたりすることなく益々パワーアップしているのが嬉しい。それを証明するかのようなライブDVD「SUMMER LIVE 2003」も楽しみだ。

ステレオ太陽族

 楽曲紹介

  1. Hello My Love

  2.  3部作の特徴はメジャーでのりの良い曲で始まり、バラードで終わるというアルバム構成である。桑田佳祐の現在まで続くポップセンスが光る曲。ファンの間も人気の高い曲。
  3. My Foreplay Music

  4.  おそらくこのアルバムの楽曲は今でも全て歌える(歌詞カードなしで)のでは無いかと思うほど聴きこんだ。また、私がギターを始めた時期と重なり、必死でギターをコピーしたアルバムでもある。この曲はイントロがカッコよかったので、よく弾いた曲だ。当然歌も覚えたのだが、サビの英語詞の部分がどうしても流暢に歌えずに悔しい思いをした覚えがある。
  5. 素顔で踊らせて

  6.  これは桑田佳祐自身が出演した生理用品のCMソングだった。確か「偉大なる女性に感謝」という台詞が結構話題になったはず。癒し系ソングというか、美しいメロディと優しい歌声が心にしみる曲。歌詞に出てくる「2月26日」は原坊の誕生日かと思っていたが、実は桑田のそれだった。結婚式も2月26日に行いたかったらしいが、式場の都合で2月28日になったという裏話もある。
  7. 夜風のオン・ザ・ビーチ

  8.  こういう曲を書けるところに桑田佳祐という人の才能を感じる。カテゴリ的にはロックなのだが、ところどころジャズのセンスが入っているので泥臭くならず、お洒落にもなりすぎずという絶妙のバランスが光る。お得意の湘南物語かつ、ちょっと(かなり?)Hな歌詞はもはや伝統芸だろう。
  9. 恋の女のストーリー

  10.  これもお得意のブルース系バラードであるが、この曲は雰囲気という意味でH度が高い。特にギターソロはSexyだ。ということと関連するかは判らないがが、「モーニングムーンは粗雑に」で主人公の高樹澪がこの曲を歌い、シングルもリリースしているらしい(聴いたことは無いが)。高田みづえや研ナオコ等意外に女性シンガー向きの曲を多く輩出しているのかも知れない。
  11. 我らパープー仲間

  12.  今聴いても楽しい曲。大きな声では言えないがリリース当時(中学生)は「栞のテーマ」の次に好きだった曲である。カラオケでこの曲を見つけた時はびっくりしたが、歌っている人を見たことはない。パーティーソングとしては秀逸だと思うが。
  13. ラッパとおじさん(Dear MY's Boogie)

  14.  アナログ盤ではB面の一曲目ということもあって、ノリの良いブギナンバー。後半"I don't cry anymore 〜"の連呼は迫力があり、ボーカリスト桑田佳祐の魅力が全開だ。アレンジャーとして大活躍の故 八木正生(Mr. Yagi)氏へのRespectソングでもある。
  15. Let's Take a Chance

  16.  サイケデリックでCream等の70年代ブリティッシュロックの影響が伺える曲。ちょっと遊びっぽい感じもするのであるが、「遊びこそ真面目にやりましょう」というような緻密なアレンジが施されているのではないだろうか。
  17. ステレオ太陽族

  18.  前作の「Tiny Bobbles」のタイトル曲と同じ雰囲気をもった小曲。ポップスとロックとジャズを混ぜ合わせたような曲だが、きちんと消化されており独自の世界を醸し出している。特にアレンジがよく、他のバンドと一線を画す理由はこのような曲にあると思う。
  19. ムクが泣く

  20.  ベースの関口(ムクちゃん)がボーカルを取っている。簡単な割には素敵な響きを持つイントロが好きだったので、よくギターで弾き語った曲。メロディも美しく、前作「Tiny Bubbles」収録の「松田の子守唄」にひけを取らない曲だと思う。このバンドは、実はリズム隊が美声の持ち主だったのだ。
  21. 朝方ムーンライト

  22.  マイナーキーの曲なのだが、サビ直前で一瞬メジャーキーになる箇所が良い。このメジャーになる部分が一番好きなのだが、英語詞のため流暢に歌えなかった(as well as #2)という苦い思い出がある。
  23. Big Star Blues(ビッグスターの悲劇)

  24.  映画の主題歌であるが、歌詞は桑田佳祐自身の心の叫びだと思う。原由子のシングル「I Love Youはひとりごと」が何故か放送禁止になったりした理不尽さへの怒りも感じられる。しかし、サザンというか桑田作品ではもっとヤバい曲も沢山あるのに、何故「I Love Youはひとりごと」が放送禁止になったのかは未だに謎である。
  25. 栞(しおり)のテーマ

  26.  美しいメロディと切ない歌詞、そして透き通るようなサウンドと正に完璧な曲である。これ以降、「TUNAMI」までこれに匹敵する感動を与えてくれたバラードは無かった。中学生だった私は、イントロと歌い出しで既に胸がつまってしまい、サビでは呼吸困難に陥ってしまう程(実話)感動した曲。私ごときがあれこれ解説できません。
 個人的には2nd「10ナンバーズ・からっと 」、3rd「Tiny Bubbles」、を含めた3部作でこのアルバムはそのラスト作品という印象があったのだが、この後の「Nude Man」も完成度という点で更に上を行っており、3部作完結後の総集編としてオススメしたい。
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